臨床試験データ

日本における多施設共同無作為化非盲検試験

目的

1剤以上の抗不整脈薬(Ⅰ群~Ⅳ群)に抵抗性又は不耐性(安全性上の問題で使用できない)が確認された症候性の発作性心房細動(PAF)の成人患者を対象として、SATAKE・HotBalloonシステム(SATAKE・HotBalloonカテーテル、トレワルツ及びSATAKE・HotBalloonジェネレータ)の安全性及び有効性について評価すること。

試験の範囲、デザイン及び方法

本試験は、前向き・無作為化・対照比較・多施設・検証的臨床試験として、国内17施設で実施された。アブレーション手技のために紹介された症候性のPAFの被験者を、高周波アブレーション手技(治験機器群)又は試験対象の抗不整脈薬(薬剤群)に2:1で無作為に割り付けた。心房細動の再発の確認においては、治験機器群の被験者については高周波アブレーション手技後、最初の12週間は空白期間とし、薬剤群の被験者に対しては投薬開始後4週間は薬効調整期間として空白期間とした。空白期間後、心房細動の再発を確認するため、36週間にて定期評価を行った。再発確認の手段としては、1週間ごとの携帯型心電計検査、空白期間後12週目及び36週目の12誘導心電計検査及び24時間ホルター心電計検査を実施した。なお、薬剤群にて再発を認めた場合や抗不整脈薬の副作用等の理由で服薬を継続できない場合は、被験者が希望すればクロスオーバーとして治験機器による高周波アブレーション手技を可能とした。アブレーションは、1ヶ所の肺静脈口又は前庭部に対して最大3回まで繰り返し施行可能とした。

結果

  1. 1)有効性評価項目
    1. (1)治験機器群における急性期成功割合
      すべての肺静脈(RSPV,RIPV,LSPV,LIPV)がアイソレーションされた被験者の割合は93.0%であった。また、アブレーションを実施した肺静脈に対し、アイソレーションされた肺静脈の割合は98.0%であった。
    2. (2)慢性期成功割合
      主要評価項目である慢性期成功が確認されたのは、治験機器群の59.0%、薬剤群の4.7%であった(p値<0.0001)。
  2. 2)安全性評価項目
    1. (1)治験機器群及びクロスオーバーにおいて発現したMajor Complications
      Major Complicationsが発現した被験者は、治験機器群の12.0%(12/100例)、クロスオーバーの8.8%(3/34例)であった。内訳は、脳梗塞2例、完全房室ブロック1例、洞不全症候群1例、血管偽動脈瘤1例、横隔神経麻痺5例、肺静脈狭窄7例であった。
    2. (2)治験期間における重篤な有害事象
      重篤な有害事象の発現割合は、治験機器群の6.0%(6/100例)、クロスオーバーの11.8%(4/34例)であった。内訳は、脳梗塞2例、完全房室ブロック1例、急性心不全1例、プリンツメタル狭心症1例、洞不全症候群2例、血管偽動脈瘤1例、意識消失1例、徐脈1例、膀胱がん1例※1、結腸がん1例、胃がん1例、肺炎1例※2、気管支炎1例※1、不安障害1例※2であった(※1、※2はそれぞれ同一症例)。

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